エピソード11 さよなら ウォーレン
ウォーレン・ジヴォンが亡くなりましたね。
その直後の私と金森幸介の電話の様子をお伝えしたいと思います。
あらかじめお断りしておきますが、あくまでもプライベートな会話の記憶です。
一言一句間違いがない訳ではありません。
会話のニュアンスさえお伝えできればいいと思います。
だからあんまりツッコまないでね。
ルルル...ルルル...ガチャッ
幸 「もしも~~し!」
私 「はいは~~い!」
幸 「こらこら、どっちが電話しとんねや!”はいはい”て、お前は赤ちゃんか!」
私 「もう”たっち”も出来るよ」
幸 「再放送してるがな。あだち充もビックリやがな。」
私 「どこまでカブせんねんな。」
幸 「いやいや、一応色々言うとかんとな。」
この後、なんやかんや話はあって
私 「ところでウォーレン・ジヴォン死んだねえ」
幸 「そうやなあ。昔ゼヴォンが死にかけた時のインタビュー記事、思い出したがな。」
私 「へ~どんなん?」
幸 「ここで死んだら、ジャクソン・ブラウンの歌のネタにされると思ったって話。笑うやろ?」
私 「はっはっは~っ!エエよなあ。」
幸 「絶対書くよなあジャクソン。それでまたいい曲書けるようになったらエエけどね。」
私 「幸介はウォーレンの最新盤って聞いた?僕はまだやけど」
幸 「いや、俺もまだや。ウォーレン・ゼヴォンが好きでアルバム全部持ってる知り合いが
今度のだけは聞く気になれんて言うてる。”天国の扉”が入ってるのが我慢ならんねんて。
『あの曲、大っきらいやねん』やて。」
私 「ふ~ん、ちょっと分かるような気もするな。」
幸 「そこやがな。そこがウォーレン・ゼヴォンのシャレやがな。
もちろん演奏はマジメやねんで。いつもあいつはそうやがな。シャレやから切ないんや。
けど新作今すぐ聞きたいとは俺も思えへん。ウォーレン大好きやけど、いつか聞けるやろ。
死んだから言うても一緒や。俺のあいつに対する印象は変われへん。
訃報を受けた夜は、昔のアルバムずっと聞いて過ごしたけど。」
私 「彼の作品で良くなかったのは何ひとつとしてなかったよね」
幸 「お前、一年に一回はエエこと言うがな。その通りやで。ライブの音源とか聞いてもな、
お客少ないねんで。ほんま俺と一緒や...ほっといて!
ヨーロッパとかでもな。けど拍手とかがものすご~く暖かいねん。
みんなウォーレン大好きやねんやろなって伝わるんや。
これって音楽家冥利に尽きるってやつやで。幸せな人生だったと思うよ。
けどジャクソンは絶対に曲書くよなあ。死ぬ前から用意してたりして。
ここで書かんとオチがつかんがな。」