エピソード57 Sox Machine
今を去ること七年前、フリーコンサート"LOST PARADISE"の会場で
版画家E.M.さんの奥様C子さんから「幸介さんって、ファッションはシックなのに
いつもクツ下はなんだかキョーレツなのを履いている気がします。
それを考えると夜も眠れません。どうか"inside-report"で調査してください。」
と、探偵!ナイトスクープの依頼みたいなお願いをされた記憶が急に甦りました。
金森幸介のクツ下がキョーレツかどうかは別にして、
私はこれまでの彼との付き合いの中で、クツ下を履いていない彼を見た記憶が皆目ない。
セックスレスな友人夫婦はよく見かけるが、ソックスレスな金森幸介は見たことがないのである。
これから気温が上昇し不快指数も増す季節になると彼もショートパンツをしばしば着用する。
しかしバミューダ、ショートパンツなどを穿いていても彼はキッチリとクツ下を履いている。
どんな夏の炎天下であっても彼はクツ下を履いている。
履いてる履いてるハーヴェイ・カイテルである。逆石田純一ともいえるのである。
彼のクツ下ワードローブを観察してみると確かに無地のモノトーンものは少ないようである。
ボーダー柄、アーガイル・チェック、水玉模様、市松模様、唐草模様、ユメもチボーもないね
ペイズリー、果てはウズ巻状からカラフルな幾何学模様まで、
クツ下に対する並々ならぬコダワリを感じるのである。
私などはユニクロの三足1000円を定番としているが、金森幸介の場合、
クツ下方面にけっこうな資金を流出していると想像されるのである。
「京の着倒れ 、浪花の食い倒れ、金森の履き倒れ」と言われる所以である。
「くいだおれ太郎」に代わって、道頓堀のクツ下屋の店頭に「履き倒れコースケ」の
人形が立つ日も近いかも知れない。
「最近のプロ野球選手はズボンのスソを下げてストッキングを見せとらん。
あれはどうもけしからん!その点でもイチローちゃんはエライ!」
と金森幸介は怒っております。徐々にクツ下好きが露呈してきたようです。
では金森幸介のクツ下好きのルーツを探ってみようと思います。
以前お話したように金森幸介の今は亡きご尊父様は橋梁建設をメインとした
建設会社の経営者だったようである。
会社社長とはいえ当時の土建屋のおやっさん、きっと現場などに赴くときは
ヘリンボーン・ウールのニッカボッカにハンチングといったいでたちだったと想像する。
ニッカボッカといえば地下足袋である。ゲートルである。即ちクツ下である。
金森幸介が幼年期に目に焼き付けた父親の凛々しいクツ下姿...
このトラウマこそが今日まで続く彼の忌まわしい家畜人ヤプーの如き「クツ下フェチ」の
発露になろうとはロマンスの神様も罪作りだと歌手の広瀬香美さんは語る。
ここまでの考察を裏付けるように、運命のジグソー・パズルのピースが
次々と収まりだす感動を今の私は禁じえない。
そういえばゴルフの全英オープンを観戦中、彼はペイン・スチュワートの
古式ゆかしいニッカボッカ・スタイルに「やっぱりゴルファーはニッカボッカやなあ」
とウットリしていたことを思い出した。
「俺は女子高生のルーズソックス、どっちかいうと容認派かなあ」とも。
....ああ、いけない。いかに"inside-report"とはいえ、inside過ぎるがな。
世の中にはタブーが、サーカスにはピエロが付き物なのさ...ああ、これ以上は言えまへん。
C子さん、遅くなりましたが、こんなんで満足していただけたでしょうか。
でもマジメな話、金森幸介へのプレゼントにはスニーカーかクツ下が喜ばれると思います。
特に若い女性の方などはご自分が数日間履かれたものなどがモア・ベターかと...
...えっ?私ですか?lefty-hiroへのプレゼントはズバリ「お足」がよろしいようで。