エピソード59 富山でナマステ
金森幸介とtambourine manの二人は富山県にいた。ツアー中である。
一夜限りで次の町へ。流れ流れのone night stand 流れ者にはおんなはいらねえ。
あたいら女に無視されて 完全無欠で生きていくロックンローラーである。
高速道路に入る前に腹ごしらえを、ということで
高速入り口付近に見つけたレストランで食事をすることにした。
しかし、入ってみると中は家族連れなどでてんやわんやの満席状態である。
tambourine man(以下タ)「混んでますなあ。どうします。幸介さん?」
金森幸介(以下幸)「しかたないな。他行こか」
タ 「隣りにインド料理屋があるみたいでっせ」
幸 「ええんちゃうか。カレーでも食おか。俺カレー、好き好き好き好き好き好きす~!」
タ 「ステッペンウルフでっか。そらただ事やおまへんなあ」
幸 「まあええがな。ワイルドでいこやないかないかドートンボ~リよ~っと」
ご陽気にドアを開けて店に入る二人。
タ 「こ、幸介さん、こ、これはまた...客誰もいてませんで」
幸 「えらい薄暗いし、客どころか店員もおらんがな」
タ 「い、いや、幸介さん、奥の壁の暗い隅になんかいてまっせ」
幸 「ギョッ!タイガージェット・シンと演歌歌手チャダみたいなんが二人こっち見とるがな」
タ 「黒人の演歌歌手いうたらジェロちゃいますの?」
幸 「昔、チャダっちゅうのがおったんや。”面影の女”いう曲でな」
タ 「ステッペンウルフからチャダまで、金にならんことはなんでもよう知ってはりまんなあ」
幸 「猪俣公章作曲やったな。って、そんなこと言うてる場合とちゃうがな」
タ 「なんか言わなあかんのちゃいますか?
巷の噂じゃ幸介さん、英語ペラペラいうことですがな」
幸 「誰がペラペラやねん。大体インドて英語か?ヒンズー語ちゃうんか?いやサンスクリット?
ままよ。ナ、ナマステ~...」
チャダ似の方が二人に近づいてくる。
幸 「こ、ここは屋外か?いや屋内や。インドア...インドや...なんちゃって」
タ 「幸介さん、チャダ、なんかキョトンてしてますで」
幸 「俺のハイブロウなギャグが分からんとはサフラン!ターメリックな奴っちゃ。
ガンジー印はインク消し!ノラ・ジョーンズはラヴィ・シャンカールの娘はん!
もう一人のシタール弾く娘はんもエロい!えろーエロうてたまらんぎゃ!」
タ 「アヌスカー・シャンカールでんな」
幸 「ア、アヌスか~!!そんなエ~感覚な!」
タ 「一回は下ネタ言わな気ぃすみまへんのんかいな」
幸 「そんなことはlefty-hiroに言え!」
ようやっとオーダーし、タイガージェットが作りチャダが運んできた
カレーとナンは思いのほか美味であった。
幸 「うまかったなあ。さすが本格的やがな」
タ 「そうですね。けど、あまりにほかの客来まへんなあ」
幸 「ほんまやなあ。隣のレストランはあないに賑おうとったのになあ...
俺らだけやったら心細いがな。あっ、客来た来た!四人も!」
タ 「良かったですねえ。いや、ほんま......って.....幸介さん...」
幸 「...よ、四人ともターバン、頭に巻いてはるようでんな....」
タ 「越中富山はカルカッタ!」
幸 「そんな私は無抵抗主義!」
印度カレーでお馴染みのメタル食品、なくなっちゃったんですね。