エピソード67 闘う君の唄

秋口まで「どっからでもかかってこんかい!」と豪語し続けた金森幸介の声援も空しく
リーグ優勝を逃した阪神タイガースではありますが、ここは素直に
原ジャイアンツの健闘を称えようではありませんか。敵ながら天晴れ!
と金森幸介も申しております。

先日行きつけの古書店で「Sports Graphic Number」誌の別冊「25周年傑作写真選」を発見。
即ゲット。105円也。2005年の発刊である。

優れたスポーツ写真は時として被写体であるアスリートの魂をも写し出す。
そしてそれは唖然とするほど美しかったりもする。
表紙をめくった扉のページはイチロー選手の写真である。
Naoya Sanuki撮影のこの写真は一時期、金森幸介の部屋に飾られていたことがある。
セーフコ・フィールドの深い外野の鮮やかな緑芝。首を背後上空に向け視線は打球を追いつつ、
落下地点にむかって一直線に疾駆するイチロー選手の姿である。
美しくも清清しい写真である。本物が本物の仕事をしている瞬間を切り取った一枚である。
イチロー選手のベースボールに対する真摯さ一途さを伴った敬意が眩しい。
敢えて写真を縦使いにしたセンスもいい。

さすがに25年間、表紙には様々なスポーツ選手たちが登場している。
すでにこの世を去ったアスリートもいる。
アンディ・フグ、ジャック・マイヨール、そしてアイルトン・セナ...
セナの仕事もいつも美しいものだった。
私の記憶の中での白眉は1993年F1GP第3戦ヨーロッパGPである。
この年、非力なフォード・エンジンで苦戦を強いられていたマクラーレン・チームに
在籍していたセナだったが、エンジン・パワーのハンディキャップが軽減される雨中のレースで
彼はまさに神がかりなレースを見せたのである。
しど降る雨のドニントン・パーク。決勝レースを4番グリッドからスタートしたセナは
一周のうちに3台のマシンを抜き去り、なんとトップで戻ってきたのである。
F1ファンには今も語り草のこのレースでのセナのマクラーレンの写真が私の部屋の壁にあるが
コーナーを通過しながら、コクピットの中の黄色いヘルメットの視線は二つ先のコーナーに
向けられているのである。想像を絶する美し過ぎる走りである。

職人といえる人が一番輝いて見える装いはなんといっても仕事着である。
料理人なら厨房着。軍人なら軍服。政治家は省エネルックである。
一級建築士と無免許医師はカツラ。金森幸介はボルサリーノと派手な靴下である。
スポーツ選手が一番輝くヴィジュアルはやはりユニフォーム姿である。
当然のごとく選手たちのほとんどは各々の競技のユニフォームでNumber誌の表紙を飾っている。
しかし、それを良しとしない選手も少数だが存在していたのである。
かなりの表紙登場回数を誇る中田英寿選手に至っては半数以上が私服姿である。
それもファッション雑誌から抜け出たような(死語?)スカしたモードである。

先日引退を表明した清原和博選手。西武に在籍の頃こそユニフォーム姿だが
近影のほとんどは黒シャツにイタリアン・スーツ。まんまその筋系の目線でスゴんでいる。
彼が1987年1月20日号でインタビューに対して語った
「ぼくって、こんなにスターなのかなあって、ときどき夢じゃないかなって思いますよ」
という言葉が、後年メディアによってイメージを支配され、自らもそれにノってしまった
トリックスターの悲哀をいみじくも予言しているようである。
確かに彼は超一流の打者になりうる素材だった。十年に一人の逸材ってやつだった。
でも現在それを語るには相当に遠い過去形になってしまう。
引退に際してあれほどメディアが騒ぎ立てるランクの選手だったか私には疑わしい。
いやそれはそれでもいいとしよう。
でも野茂英雄投手の引退発表に際して、番長キヨの半分も時間も誌面も割かなかった
スポーツ・マスコミはあまりに薄情ではなかっただろうか。
野茂ですよ!ヒデ~オですよ!トルネードですよ!Dr.Kですよ!
今はなき藤井寺球場にも足しげく通ったという往年の近鉄バッファローズファン、金森幸介は
そのデビューから野茂投手を見てきた。応援してきた。感動させられてきた。
野茂英雄はイチロー選手とはまた違うスタンスながら、
やはり一途にベースボールを愛し続けた男である。
なんどかNumber誌の表紙を飾っているが、90%ユニフォーム姿である。
残りの10%は、なんとハダカである。ヒデオもなかなかスミに置けない男である。
野茂英雄投手、素晴らしいベースボール人生でした。ありがと。

ところで「WBCの日本代表監督には岡田前阪神タイガース監督がよろしかろう」と
金森幸介は申しております。
「その代わりにサッカーの方の岡田監督にはお引取りいただくのがよろしかろう」
とも申しております。
「どっからでもかかってこんかい!」とは今はもう申しておりません。
なんて言いながら届いた夕刊を開けば、なんと一面トップに「高橋尚子が現役引退」
引退がこれほど大きな話題になる大選手である。北京に選んどけよ~。
選考されたあの三選手の誰かが引退してもこれほどの話題になりますか?
それにしても、Qちゃんに匹敵する実績を残しながら、野茂はとことん不憫である。
しかし、寡黙なアスリートの後に続いて未来の闘いに立ち向かう君たち、
ときには闘う君の唄を闘わない奴らが笑うだろう。でも
冷たい水の中をふるえながらのぼってゆけ。(byみゆき)

闘う人魚姫の悲しい唄を闘わない奴らが笑い罵り、そして彼女は傷ついた。
私と金森幸介の一番のお気に入りはなんといっても千葉すずちゃんの表紙であります。
金森幸介には確認してないけど多分きっとそうに違いない。もちろん水着姿。
当時まだレーザーなんたらとかいう無粋なハイテク水着がなかったことは
私たち女子スイマー・ファンにとって良い時代であったのであります。
富士山には月見草がよく似合う。すずちゃんにはスクール水着がよく似合う。
でも、もう山本すずちゃんなんだよなあ...