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エピソード69 無縁なしばらハウンドドッグ...

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世の中には、我々常人の理解をはるかに超えた世界が存在します。
特に臆病な私などには、一生近づくことなく終える世界が沢山あると思います。
いわゆる「無縁の世界」という奴でございます。
例えば”SMクラブ...”放置プレイは慣れっこの私ですが、
私のような”なんちゃってヘンタイ”にはやはり敷居が高い場所だし、
最近では”メイド喫茶”なんかも私にはやはり無縁の世界でございます。

高校時代、先輩に誘われて「歌声喫茶」なる場所に連れていかれたことがある。
ご存知ない方のために若干説明すると「歌声喫茶」とは、
ビアホールほどの大きさの店内で客全員が同じ歌を一斉に合唱する店のことである。
伴奏はたいていの場合、アコーディオン奏者がひとり。ヘタをすれば無伴奏の場合もある。
ええ大人が何十人も秘密めいた山小屋風の店に集まって、声を張り上げ合唱するのである。
とはいっても、「ヨサホイ節」などの数え歌や、つボイノリオの「金太の大冒険」
「極付け!お万の方」などを歌う愛好家の秘密クラブではない。
歌われる楽曲は「カチューシャ」「ペチカ」などのロシア民謡に「山男の歌」など、
まあ非常に健全な歌ばかりで、そこがまた逆に怪しかったりもするのである。
連れていかれたのはたしか「ともしび」という店名だったと思うが、
私は結局店の扉の隙間から漏れ聞こえる団塊の歌声に腰が引けて、そのまま逃げ帰ってしまった。
でも一緒に連れて行かれた友人に後で聞くと、店で合唱したあと、ある政治団体の青年部に
勧誘されたそうである。臆病も時として危機回避能力となるのである。

宝塚歌劇というのもやはり私には一生無縁の世界だと思ってきた。
何十年もの歴史を誇り、何万人ものコアなファンを持つエンターテイメント・ショーを
”SMクラブ”や”メイド喫茶”と並べて語るのは本当に心苦しいが、
宝塚歌劇はやはり私の理解を遥かに超えた「無縁の世界」であるというしかない。
なんせうら若き乙女が「男役」と称してチョビ髭をつけたり、
時代劇ではチョンマゲを結ったりしちゃうんである。大マジメで。
劇団員は宝塚音楽学校の卒業生でなくてはならず、未婚でなくてはならないというのも
すごい世界である。倒錯の極致とも言えるかも知れない。まさに「桜の園」である。

その禁断の「桜の園」へ己のあずかり知らぬ間に瞬間ワープさせられていた男がいる。
無縁ではなくならざるを得ない状況に陥った男がいる。
他でもない金森幸介である。

驚くなかれ。といってもきっとあなたは驚くだろう。
私も驚いた。腰を抜かした。夢かと思った。
金森幸介作詞作曲の楽曲が宝塚歌劇の本公演で歌われているのである。
あの穢れなきタカラジェンヌたちが、この穢れだらけの金森幸介によって
テキトーにデッチ上げられた曲をありがたく歌っているのである。
タカラヅカでは金森幸介はもう立派な作詞作曲のセンセイである。
ヅカガールは金森先生のなすがままである。キューリがパパである。



曲は「悲しい日々」 クレジットでは「三人の心(悲しい日々)」となっている。
演目は「銀ちゃんの恋」 つかこうへいの「蒲田行進曲」のリメイクであり、1997年に
月組公演で公開されたが、好評だったため、今年の秋に花組によって再上演されたらしい。
「悲しい日々」はクライマックスの大階段での場面で三人の花組トップによって歌われる。
大空祐飛、華形ひかる、野々すみ花...芸名からしてやっぱ理解不能な世界である。
DVDが発売されていて、着歌もD.L.できるらしい。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm21171618

でチョッピリ視聴できます。スゴイですよ。
...で、みなさんにお願いです。興味持たれた方で、DVDを購入されたりした奇特な方がおられたら
私、すっごく観てみたいのでご一報いただけたりしたらありがたいです。
えっ?お前が買え!ですって?だって臆病なんだもん。年末で物入りなんだもん。

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