エピソード7 背後霊もガックリ
金森幸介との会話に頻繁に登場する言葉が「背後霊もガックリや」である。
主に、行き過ぎた下ネタでお互い情けなくなった時に自嘲の意味で使用するのであるが、これは相当言い得ていると思う。
もちろん我々はオカルト信奉者でも、つのだじろうファンでもない。イメージの問題なのである。
子どもの頃、親から「悪い事したらアカン!お天道様は見てらっしゃるぞ!」
と戒められたとき、子ども心に「なんぼおテント様でも屋根の下は見えんやろ」なんて毒づいたものだ。
けれど背後霊からは逃げ隠れなど出来ない。なんせ相手は霊なのだ。
屋根の下に隠れようが、密室に逃れようが、肩に絶えず乗っかっているのだ。
四六時中肩越しに我々の言動を逐一観察しているのだ。パソコンのキーを打つこの瞬間も..
もちろん我々が犯罪や悪行三昧に耽っている訳ではない。どちらかと言えば品行方正な方だと思う。
でもね...やっぱ誰にも見られたり聞かれたりしたくない場面ってあるのであります。
いくらinside-reportだとはいえ、門外不出のinsideもあるのだ。
私は中学生の夏、石切神社の参道で霊能者を名乗るオッサンに
「あんたには父方のおじいさんが守護霊としてついとる」と言われた男である。
おデキが治るよう祈願に行って、恐ろしい宿命を突きつけられたもんである。
確かに父方のジイサンは私が小さな時に亡くなっている。
霊能者は続けて「いつで~もあんたを見守っとるよ。喝~ツ!」と念を押した。
そんなことを言われて、平凡パンチを片手に励み盛りの男子中学生はどうすれば良い?
自分の部屋でのスウィートな密戯が...部屋の天井をキョロキョロ見回す私であった。
なんせ、いつで~も見守られているのである。
年頃になって好きになった女の子とよろしいムードになっても肩の上のジイサンが気になった。
相手の女の子にもきっとバアサンかなにかがくっついているに違いない。
そんな風に考えると、もはやラブラブムードもブチ壊しである。
若い二人の甘いひと時、老人二人がフガフガ、カタカタ(入れ歯の音)しながら見ているのだ。
女の子の胸に手を伸ばそうとすると向こうのバアサンが怒る。「やめんしゃい!」
反対にこっちのジイサンは大喜びだ。
「ヒャッホ~!行ったらんかい~!回春~!延命~!」(ってもう死んどるがな)
さながら幻魔大戦である。
そんなこんなで私のココロはビョーキになった。
女性を愛せなくなった。かと言って男性はもっと愛せなかった。
しかし、私は考えて遂に答えを見つけた。「リビドーは背後霊より強し!」と
背後霊の影に怯え初体験を躊躇している青少年諸君よ!悩むことはないぞよ。
私のように背中のジイサンバアサンに言ってやればいい。
あなたたちの性行為があったればこそ我々が存在するのではないか?と
かくして私は背後霊の呪縛から開放され、我が世の春を謳歌することとなったのである!
なにも偉そうに言うことではないけど。
それにしても我々の人生のテータラクぶりを思えば
私と金森幸介の守護霊はあまり役に立っとらんのである。
ここぞという時に、「ほらほら、おじいちゃん!助けてえや!」と念じても、
そんな時に限って鼻チョーチンで居眠りこいとるのだ。もしかしてタヌキ寝入りかも知れない。
でもこの歳になるまで健康で過ごせてるってことは、やっぱ守ってくれてんのかな?
なんて一応フォロー入れたりして..ゴメンな じいちゃん
話が長くなってしまった。そろそろここらでマトメにしたいと思うが、
元々なんのオチも考えてなかったので非常に困っている。
最近では金森幸介との会話での「背後霊もガックリや」も効を失い、
「背後霊が投げたサジの音が聞こえるわ」に進化している。
ほんまにアホな話でみなさんゴメン!
なんぼなんでもシンガーソングライターの公式サイトに書く話やないわなあ。