top of page

エピソード93 佐良直美に捧ぐ

早川世外という日本画家がいた。
名前は「せがい」と読み、明治6年に愛知県常滑市に生を受け、
富山県立石町五百石で創作に勤しんだという。

名古屋フリコンメンバーの早川氏は早川世外のお孫さんである。
早川氏は長野県大岡でカフェテラスモモを営まれているパン職人である。
バタ臭い男前である。パン職人だからバター臭くて当たり前ともいえる。

モモのパンはとにかくおいしい。味に作り手の人柄がにじみ出ている。
いつも金森幸介が大絶賛するお店のロケーションも店内の雰囲気も文句なし!らしい。
らしいというのは、私は一度もモモを訪れたことがないからである。
何度か早川氏からお招きを頂いたのだが、残念ながら訪問は今だ実現していない。
でもモモのパンは何度か食させて頂いた。その都度ほんとに感動した。
私は世間の”ロハス”とか”オーガニック”とかいうフレーズをあまり信用していない。
でもモモのパンを口に入れると「ああ、こういうことか」と納得させられる。
ああ、モモのパン・・・モモパン大好き!

金森幸介が富山県立石町五百石でライブをすることになった。
早川氏から、画家だったおじいさん世外氏が住んだ場所だと聞いていたので、
五百石に到着した際、ライブハウスの方に「この町に早川世外という画家がいたそうですが、
ご存知ないですか?」と訊いてみた。
すると「知ってるどころか、ほら、この掛け軸、世外作ですよ」と即答で返ってきた。
自宅を改装したライブハウスの壁に掛けられた書画がまさしく世外の画だったのである。
北陸の小さな町での友人の祖父との運命的な出逢いに金森幸介は胸をふるわせた。

世外という言葉には「俗世界を離れたところ」の意味があるらしい。
さすがフリコンなどという酔狂事に真剣になれる男のご先祖である。
その子孫の営むモモも相当に世外というか、ほとんど人外魔境に存在するらしいので
血は争えないものである。「世外」とはこの二人に共通して冠せられるキャッチである。
まさに「セガイは二人のために」である。というわけでこのタイトルである。無理やりである。

先日の3DOGS 5NIGHTSツアーに出かける前に金森幸介は、早川氏のパン焼きミュージックとして
BOOKER.T.&MGsの三枚組を、そしてジャクソン・ブラウンやネッド・ドヒニーなどの
男前ミュージシャンがお好みの早川夫人のためにグラム・パーソンズの音源を
CD-Rに焼いて送った。
グラム・パーソンズが男前かどうかは金森幸介には少し疑問らしいが、
我らがイケメン拝観生き仏さまであらせられる金森幸介師が亡くなった折りには
亡骸を車で鳥取砂丘に運んで、彼のパソコンと共に燃やしてくれと私は託されている。
膨大な秘密のデータがマスメディアによってさらしものにされないためである。
私が先立った場合には彼が同じ役を担ってくれるはずである。
だって天使のバンド仲間の我々だもの。
好みのブラジャーがなかったためにコインランドリーに放火した男に
ちょっぴりシンパシーを感じる我々だもの。by相田みつを

ツアー三日目の犬山市のライブハウスにお越しの方の中に、犬山に来る途中、
カフェテラスモモに立ち寄ったという方がいたのである。それもなんとお二方も!
お一人はお馴染みMr.タカハシである。
どう考えても、ついでに立ち寄るというレベルの位置関係ではない。なんせ世外である。
でも無理をしても足を伸ばして立ち寄る価値は充分にあるのである。人外魔境だけれど。

歌手の竹内さんもいろんな交通手段を乗り継いではるばるモモにパンを求めに来られるらしいです。
旦那様の山下さんもモモのパンを口にされるのでしょうか。

segai.jpg
bottom of page