幸介からのメッセージ2004/09/18
北村和哉氏は、物書きである。音楽についてあれやこれや書いておられる。
手っ取り早く云えば、音楽評論家である(らしい・・・・)。で、CDを買うと、もれなく
北村和哉氏がついてくることがある。ライナー・ノーツである。こちとら、そんな厄介な男
にもれなくついてこられても困るのだが、国内盤を買ってしまったのだからしかたない。
そんな時、僕は、厄落としがてら直接彼に電話して憂さを晴らす。
「もしも~し、二―ル・ヤングで~す」「はいはい、幸介さんね」「いえいえ、ヤングさん
ちの二―ルくんでおまんにゃわ」「あのね、二-ル・ヤングはおまんにゃわとは云いません」
「バ・バ・バ・バレたか」「バレいでか」「聴いたで」「聴いたんでっか」「読んだで」
「読んだんでっか」「ニール、やで」「ヤング、でしょ」「歳食うたけどな」「ヤングやね」
(・・・・)「いやあ、中身もエエけど、ライナー・ノーツがまたエエがな」「いよっ、さ
すが、お目が高い」「中川五郎はんやったっけ」「北村和哉様と云えんか」「そやそや、漢
字ぎょうさん知ってはる人や」「習いましたでぇ~ッ、通信教育で」。気鋭の評論家と孤高
のミュージシャンの会話とは思えないが、かくも大阪の血は悲しいかな濃いのである。でも、
やるときはやる(はずだ)ぞ(たぶん)。というわけで、氏の本『レコード・ジャケットと
いう神話』が出た。版元は東京書籍、ハード・カバーである。帯には〔レコード・ジャケッ
トから音楽が聞こえる〕とある。へぇ~、まったく器用な男がおるもんや。そんな特技があ
ったらステレオはいらんわいな。それにCDショップに行ったらウルサーてしゃあないがな。
などと突っ込みを入れつつも、文中に登場するいろんな人たちのいろんなアルバムが聴きた
くなってきて、してやられたり。聴くべきか、読むべきか。電話して訊いてみよっと。と、
思ってたら、電話が鳴った。
「もしも~し、わたくし、北村和哉です、か」「“か”はいらんねん、“か”は」。「これは、失
礼しました。そちら、幸介さんのお宅です」「そこは、“か”いんねん、“か”が」。・・・・や
れやれ。