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幸介からのメッセージ2005/05/16

# “ The Essential / Stevie Ray Vaughan”

剛球だ。
ズシリと重い。
スピードのある球が「ギューン!」と風を切り、
「ズドーン!」と豪快な音をたてて僕のミットに
収まる。ブルースという名のストライク・ゾーン
をいっぱいに使っての直球と変化球。その切れも
コントロールも申し分ない。

ブルースを語る時、「難しいことはしていないが
―――」という言い方は、ときに差別的だ。そこ
には『音楽は,難しくなければならない』といった
悪しき前提が含まれているやも知れぬ。大切なことは、
ただひとつ。そこで発せられる音の質。それに尽き
る。僕の耳は、片時も彼のプレイから離れることを
許されない。

音楽の伝説は、本で読んだり、人に教えられたり
して知るものではない。自分の耳で聴いて、発見す
るものだ。2枚組み160分というCDの特性を活か
しきったこのアンソロジーは、ギターの神様が乗り
移った男の伝説そのもののように思われる。

スティーヴィー・レイ・ヴォーンという名の男がい
た。白人だったが、ブルースに生きて、ブルースに
死んだ。彼はギターそのものであり、ギターは彼そ
のものだった。そんな伝説を、僕は信じる。

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