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幸介からのメッセージ2006/03/31

ジョニー・キャッシュの半生を描いたという映画『ウ
ォーク・ザ・ライン(君につづく道)』を観てきた。
とても好感の持てる良質なハリウッド映画だった。
『ボブ・ディランの頭の中』より100倍は良かったし、
『永遠のモータウン』や『フェスティヴァル・エクス
プレス』なんかより50倍は良かった。
映画館で観る“伝説”は、フィクションであれ、ノン
・フィクションであれ、銀幕の大きさに見合ったエン
ターテイメントであってほしい。それは、ワクワクし
ながら座席に腰をおろし、明かりが消えるのを待って
いる観客への最低限の礼儀ではなかろうか。
で、これは、久しぶりに、後味の良い音楽映画だった。

昔むかし―――あまり語られることはないが、当時、
ジョニー・キャッシュの音楽が僕たち周辺のミュージ
シャンに与えた影響はかなり大きなものだったと思う。
たとえば、加川良氏の中津川フォーク・ジャンボリー
におけるバンドサウンドを、映画でもハイライトにな
っているあの刑務所でのライブ盤に重ね合わせて聴い
てみると、客のタチの悪さ(?)を含めて面白いはずだ。

そう遠くない昔―――僕も、『Lost Songs』の中の1
曲“太陽が折り返し地点”の中で1節だけ憧れのジョ
ニー様を真似て唄ってみたことがある。なんといって
もジョニー・キャッシュとフランク永井は、低音の魅
力。金森幸介は、低脳の魅力である。その一瞬の楽し
かったことといったら! (暇な人は、お探しくださ
い)

何年か前のこと―――ツァーに出る前日に大好きなウ
ォーレン・ジヴォンの訃報が届き、ツァー中に大好き
な阪神タイガースが優勝し、ツァーから帰ってきたら
大好きなジョニー・キャッシュが亡くなったというニ
ュースが入った。えらく心が騒ぐ1週間だったなと思
って、歌を書きはじめた。
1番は、“ウォーレン・ジヴォンが死んだ・・・・”。
2番は、“阪神タイガースが優勝した・・・・”。3
番は“ジョニー・キャッシュが死んだ・・・・”。
そして、最後は“とんでもない1週間だった・・・
・”と、そんな感じのブルースだった。
でも、結局うまくまとめられずボツにした。
そう、曲が完成することなんてめったにない。

2・3日前のこと―――久しぶりにリチャード・ブロ
ーティガンの小説『愛のゆくえ』を読み返していたら
《ジョニー・キャッシュ》という短い章に出くわして
驚いた。何てこともないタダの偶然だろうけど、何故
か嬉しくなる。ブローティガンも、ジョニー・キャシ
ュのファンだったのかな・・・・・?


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