エピソード11 もしかして、ワールドワイド

2年前の5月のある日、私と金森幸介は神戸へ出かけた。
来日ツアー中だったデビッド・リンドレーのライブが目的だ。
パーカッショニストとリンドレーのステージは、予想以上にご機嫌だった。
アコースティック、エレキ、12弦、ラップスティールetc.を
とっ替えひっ替え弾きながら、歌うそのステージは
これこそまさに真のブルース!と我々を唸らせた。
彼らのステージ衣装もこれまた期待を裏切らない。
学ランみたいな黒のパンタロンに先の尖った白いエナメル靴。
一昔前の巨人軍選手の私服みたいな、どデカい襟のシャツ。
素材はサテン、しかもラメ入り。一体、何処で売ってんねん。
さすが「化け物」を自称するだけの事はある。
片方に長く伸ばされた髪。妙に身体にフィットした衣装。
これって、もしかして、ワンレン、ボディコン?
さすがにジュリ扇は持ってなかったけど...

会場で逢った友人夫妻と我々はステージを終えたリンドレーを訪ねた。
デビッド・リンドレーが金森幸介のLA録音盤に参加しており
その後も交友関係があるのをご存知の方もおいでだろう。

金森を発見したリンドレー氏、興奮した様子で駆け寄り、
両手で金森の肩を抱いて、ウン、ウンとうなずく事しきり。
エンジニアやパーカッションの人なんかに
「ヒーイズ グレートシンガーソングライター」とか言って紹介し始めた。
な、なんとそれを小粋なアメリカンジョークで返す金森幸介。
が、外国人に、えらい受けてる~。
こ、この人 すっごいやんか。リンドレーとマブダチやんか。
しかも、英語ペラペラやんか。

その後で入ったチャイニーズレストランで水餃子を食べる金森幸介を
神々しく見つめた我々であった。

ちなみに、私が今まで外国人相手にしゃべった英語は、生まれてこのかた
ハワイの入国カウンターでの「さいとしーん」だけである。