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エピソード20 美しい動きをする人たちがいる

自身もマラソンランナーである金森幸介はスポーツ観戦が好きだ。
サッカー、野球は言うに及ばず、ラグビー、テニス、
モータースポーツと多岐に渡る。
特にサッカーは、馴染みのないヨーロッパのこまかいリーグにいたるまで
チェックをしてるんだから、筋金入りだ。
あまり興味も知識も無い私などの前では、話題にはしないが、
同好の志との会話を横から聞いていると、チンプンカンプンの選手名、
用語の嵐で、そう~っとその場から逃げ出したくなる。

トップ・アスリートたちの動きは美しく、無駄がない。
一瞬のうちに競泳界を席巻してしまった感のあるイアン・ソープ
水面を滑走する為に設計されたかのような肉体、
そのストロークはまるでスローモーションのように、見る者を魅了する。
今は亡きアイルトン・セナ
コクピットの中では何千回とシフトチェンジを繰り返しているだろうに、
モナコGPなどでのそのマシンの流れは見とれるほどに美しかった。
エリック・クラプトンの、スローハンドと称されるスタイルも又然りである。
トップ・アスリーターと優れたミュージシャンの動きは似ている。
我らが金森幸介はどうだろう。
長くしなやかな指、静かに揺れる上体。時折組替えられる両足、
残響をミュートする右手が、ネックに触れる瞬間まで全てが美しい。
と、私には思われるのだが、みなさんはどうお感じだろう。

先日、ウィンブルドンのテニス中継を見ていた金森幸介が一言。
「なあレフティー、右側のボールパーソンの子、ええんちゃうの。」
どうしてもオチをつけたがる悪い癖。

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