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エピソード22 おまえが言うな
ドーナツショップの窓際のテーブルに若いカップルが座っている。
女性が携帯電話でなにやら楽しそうに話し続けている。
彼氏の方は手持ち無沙汰にアイスコーヒーのストローをかきまわしている。
私「人といる時に携帯電話で別の話するのって失礼やよな。」
幸「そうそう、俺なんか、キャッチホンも失礼や思うもん。」
私「ほんま、気が知れんよなあ。」
その時、私の携帯電話がポケットの中で震えた。
発信先を見ると仕事関係。思わず受け取り、数分間話をした。
電話を切り、顔を上げると、勝ち誇ったような含み笑いをしながら
タバコをくゆらせる金森幸介がいた。
「あっ、あの...ぎ、業務連絡はセーフやろ?」
勝手に自分有利のルールを作ってしまう子供のように私は言い訳をした。
しかし彼の目は語っていた。
「おまえが言うな」
ほんと、自分の事って棚に上げてしまうよなあ。人生死ぬまで反省。
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