エピソード28 父と子の絆

ドーナツショップで世間話をしていて(本当に90%が世間話なのだ)
金森幸介が語る話の真意を掴みかねる時がある。
「俺って土建屋幸ちゃん?」
突然のそんな発言に私はいつもクラクラさせられる。
「そしたら俺は洗濯屋ヒロちゃん?」
一応そんなリアクションを返しながら、これからの展開が心配になってしまう。

金森幸介の生家が、土木関係の会社を営んでいた事は
エピソード26でもお話ししたが、話によると、かなり豪快なお父上であったようだ。

橋梁建造が主なる仕事の会社だったそうだが、
土木現場に集まる荒くれ者たちを統括する器量と気風(きっぷ)を備えた
強面(こわもて)の社長さんだったらしい。
真偽のほどは定かではないが、金森幸介自身の談によると
虫の居所が悪い時などは、家の中で木刀を振り回し
そこらじゅうをボコボコにしちゃったりするバイオレンスパパだったようだ。

そんな環境の中でも幼い幸介少年は、金森家の大事な跡取り息子として、
蝶よ花よと、何不自由の無い幼少時代を送ったらしい。
「世が世であれば、わしゃーおぼっちゃまじゃ。のう、横山~」
...誰が横山やねん。

家業とはまったく別の道を歩んだ金森幸介であったが、
やはり血を分けた父と子の絆は深いようだ。
「親父は川に橋を架け、息子の俺は人の心に橋を架ける..。どう?メルヘンやろ?」
ああ...ほんまにクラクラする。