エピソード29 Live For Today

みなさんもご存知の通り、金森幸介は今年で五十才を迎えます。
織田信長は「人生五十年」なんて云ってました。もう終わっとるがな。
驚きや迷いが無くなる「不惑の歳」っていうのは四十才だったでしょうか?
冗談じゃない。金森幸介も私もいまだ驚きや迷いの真っ只中にいるし、
これといった事はなんにも達成しちゃいない。

このコーナーをお読みの幸介ヘッズの方々に
告白しなければならない事があります。
私は17年前に彼と出会うまで、まったく彼の音楽を知らなかったのです。
もちろんそれ以降、今日に至るまで
金森幸介の音楽は私のフェイバリットになるのですが
「戻り聞き」をしなかったのは、オンタイムの彼の音楽を聞くだけで充分だったからです。

「都会の村人」も「IMOBAND」も知らないし
「少年」「箱舟は去って」の音源すら持っていない。
ほとんどのファンの方々より彼の過去を知らないのです。
でも、今ではそれで良かったと思っています。
私の中の金森幸介に「ノスタルジー」はない。
金森幸介は確実にこの21世紀を生きているのだ。
「金森幸介はもはや死んだ」と囁かれ、新しい音源すら発表しなかった時期。
この国が一丸となってバブルに向って一直線!という時代。
彼は真摯に音楽と向き合い、自分の道を歩いていました。
ここ数年景気が下降し、仕事が暇になるや音楽に舞い戻ってきたような輩や、
再結成したバンドなど、私には信用出来ない。趣味でやってる分にはOKやけどね。

「箱舟は去って」のCD化について彼が戸惑いをみせたのは
決して過去が疎ましい訳ではありません。
ファンであれば、(勿論本人も)過去の金森幸介に愛情を抱いて当然だ。
最近になって彼の音楽を知った方々には特に...
ただ、過去の音源がCD化された途端、
今日まで途切れることなく続いてきた彼の音楽活動をスルーして
「いや~ファンだったんですよ。」と近づいてくる「亡霊」の出現に辟易したのです。
原版権が彼の手元にあれば、CD化は絶対に無かった。
マスタリングetc.の音質に関しても、彼の手の届かぬ所で決定された。
彼は言う。「デジタルやから、音がいいって思うのは大きな間違いやで。」
北村和哉氏がライナーを書いてくれているのが唯一の救いでしょうか...

「自作曲で一番好きな曲は?」
こんな質問を不愕の歳をとうに超えた金森幸介にぶつけてみました。
彼の答えは....

「これから書く曲」