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エピソード9 真夜中のインディ・ジョーンズ

当たり前の事だけど、ドーナツショップにも閉店時間がある。
夜に動き出すことの多い我々を、いくらお得意さんとはいえ
深夜までは待っていてくれない。
当然、別の店を探すことになるのだが、これ結構、骨が折れます。

いつだったか、仕方なくファミリーレストランに入ったことがある。
私と金森幸介が深夜のファミレスで目にしたのは
腐った魚の目で、ソファーにたむろする若者たちだった。
 あっ、別にケンカ売ってるわけじゃないっす。

ため息混じりに店を出た我々は、レコーディングしてきたばかりのテープを
聞きながら、あても無く深夜の高速道路を走った。
そして、闇夜の果てで我々を待っていたのは...
それこそ、今回のエピソードの舞台となる古本屋だったのだ。

それは、西名阪自動車道の郡山インター近くにあった。
小腹が空いていた我々は、「中華料理 24時間営業」
のネオンサインに誘われて、その建物の駐車場に車を入れた。
思えば、それがあの長い夜の始まりだったのだ。
                 この続きは次回!乞うご期待!

~ではあまりにご無体なので、今回は長編になりますが、
ここらで、お茶でもいれて、いっぷくしてね。

車を降りて建物を見上げると、満艦飾のネオンで
「24時間営業 年中無休 中華料理 寿司 BOOKS 」とある。
終夜営業を謳っているわりに、あたりは静まり返っている。
しかし、駐車場は満杯に近い状態だった。
ザラついた予感が二人の脳裏を駆け巡る。
「う、胡散臭い。怪しすぎる。」
辮髪のチャイニーズが青竜刀を振り回して
猿の頭かなんかをカチ割ってるイメージが浮かぶ。
こ、これは、リドリー・スコット監督作品か?

隣接するマクドナルドは閉まっている。
どうやら2階が中華料理屋で、1階に寿司屋と炉ばた屋があるらしい。
とにかく、食事は見合わせる事にした。あまりにリスクが大きい。
1階の中ほどに古本屋が営業している。
客はいない。覗いてみると、エロチックな本専門コーナーのようだ。
私は正直ちょっと惹かれたが、金森幸介は売り場案内を見ている。
「書籍、文庫、雑誌、コミック、CDは地下1階」
見れば、フロアー中央に地下への階段がある。
「ど、どうする?」と尻込む私に
「とにかく、下りてみよ。」と幸介。
この時点で午前2時である。勇気あるな~。

地下への階段を一歩一歩下りて行く、いつもの茶色の帽子を被った彼が
私には、今まさに魔宮へと忍び込むインディ・ジョーンズに見えた。

下り立った地下の入り口はゲームセンターだった。
ダンスゲームの陳腐なユーロビートだけが無機質に時を刻んでいた。
右手にはビリヤード台が6台、ひっそりと置かれている。
しかし、その向こうに広がった古本スペースを前に、我々は驚愕した。
なにせ広い!小さな体育館ほどもあろうかと思われるフロアーに
乱雑におかれた本、雑誌の束、膨大な数の本棚!
多分地元と思われる若者たちが、湿った不夜城の中に幽閉されている。

ホワ~イ?何~故に~(BY矢沢永吉)
                こんな片田舎に?しかも24時間年中無休?
元来、古本好きの我々は不思議の国に迷い込んだアリスの如く
店内を物色し回った。ほんとに、冗談ぬきでここはスゴイ!色んな意味で...
この古本屋は、現在も実存します。
みなさんも機会があれば、行ってみて下さい。

ちなみに、我らがインディ・ジョーンズがそこで買ったのは

「初心者にもわかるギターコードブック」  どっひゃ~!

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